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2004.03.18,Thu
今日(昨日だね)こんなニュースがあった。

原文
ツアー登山遭難死、添乗員に有罪判決 札幌地裁


 北海道の南西部にある羊蹄山(1898メートル)の山頂付近で99年9月下旬、京阪交通社(大阪市)が企画した14人のツアー登山に参加した京都府の女性2人が道に迷って凍死した遭難事故で、安全確保を怠ったとして業務上過失致死罪に問われた同社添乗員の青木実被告(54)に対し、札幌地裁は17日、禁固2年執行猶予3年(求刑禁固3年)の有罪判決を言い渡した。

 遠藤和正裁判長は「被害者は適切な引率を受けられず凍死した。軽率な過失で、遺族は厳罰を望んでいるが、被告1人で引率した背景に利益優先の企業体質があり、被告のみに責任を帰するのは酷にすぎる」と述べた。

 旅行会社による登山ツアーの遭難事故で添乗員の刑事責任が認定されたのは初めて。青木被告は起訴事実を否認しており、即日控訴した。

 判決によると、青木被告はツアー登山を企画して販売、添乗した。降雪期直前で、山頂付近は迷いやすい地形のうえ、濃霧で道に迷う可能性があった。青木被告は1人で14人を引率して99年9月25日朝に登山口を出発。同日午前11時半すぎごろから26日未明までの間、京都府八幡市の広島洋子さん(当時64)と京都市下京区の下倉美恵子さん(同59)を山頂付近で迷わせ、凍死させた。

 判決は「契約上、添乗員は天候などを考慮してツアーを中止する権限がある。危険防止の義務があった」と指摘。そのうえで「当時の天候状況から迷走して凍死も予見できたのに、被告は2人が集団から遅れたのに合流するのを待たずに登山を続けた。注意義務に反した」と判断した。

 弁護側は最終弁論で、「力量の異なるほとんど初対面の10人以上のメンバーを統率するのは不可能。被告が指揮をして全員を一致団結して下山させることは、要求もされていなかった」と無罪を主張した。

 凍死した2人の遺族は京阪交通社と青木被告を相手に、総額約1億2千万円の損害賠償を求める訴えを大阪地裁に起こしている。




わしも同業なわけで、団体客を引率するにあたって客の安全面・健康面というのはやはり最も気を使うところです。
実際に、なんでもない観光をしているときにでも客を見失うことは割りとよくあることで、その多くは集合時間前後に見つかるので問題にはならないことが多い。
自分が実際に経験した“客失踪”で一番困ったのは、京都でのこと。清水寺の観光のときです。ある一人の客が集合時間になってもバスに戻ってこない。付近を探してみても見当たらない。この団体はとある自治会で40名ぐらいのご一行様だったのだが、このときは会長さんに判断をまかせました。「もう少し待ってみよう」ということで「もう少しもう少し・・」といいつつ1時間半も待った。それでもその客は一向に現れない。どうしたもんかと気を揉むしかない状況のなか、会長さんのケイタイが鳴った。相手はその失踪した客だった。会長さんが「君どこにいるの?」と問うたところ、驚くべき返事が・・・
「自宅です」
そうです、この客、迷子になったあげく家に帰ったのです。バスを降りる前にした説明事項を聞いておらず、しかも単独行動をとったがために自分の帰るべきバスがどこにいるかわからなくなったため、家に帰って会長のケイタイ番号を調べ、連絡するという決断をしたらしいのです。
結果的に、他の客に多大な迷惑がかかりましたが、本人は無事でなによりだったと思いました。待っている間、添乗員は気が狂いそうになります。むやみやたらと探しに行くわけにも行きませんし、大体、その客の顔もハッキリ覚えているわけでもない。すれ違うのが関の山です。大体30名ぐらいまでの顔は覚えているものですが、さすがにぱっと見ただけで見分けられるほどしっかりとは覚えていないのです。ありとあらゆる最悪のケースを想像します。ひょっとしてなにかのトラブルで怪我して病院にはこばれたのかも、いや、死んだのかもとか。

上記のこの凍死事件のとき、客は14名でした。ドライに言わせていただけるなら、14名の客を引率しきれない添乗員など無能です。しかし、登山という比較的自由度の高い行動において、御しきることは困難です。添乗員としてはもちろん客の安全を考慮する義務はありますが、いちいちいい大人をあいてにいちいち子供にするように、「遠くへいっちゃだめだよ」とか「はい、一列になって付いてきなさい」とか言えるもんでもありません。言うとしても登山道中です。せっかく苦労して頂上にたどり着いたんだから自由にさせてあげたいというのが本音です。
また、当日の天候についてですがこれについてはもっと詳しくわからないとなんとも言えません。山なんだから霧が発生することなんて珍しいことではありません。ただその霧が突発的だったのか恒常的だったのかによっても判断は違うと思います。
客のためにもなるべく可能性があるかぎり登山させてあげたいし、会社のためにも催行中止にもしたくない、というのが企画から添乗まで携わるもののある意味義務と責任です。
もちろん、なによりも客の身体が一番大事なのはゆるぎない。絶対事項であります。そうするとしかし、こういう場合、添乗員はどうすればよいのでしょうか?
わしならそれ以前にそもそも迷う可能性の高い山に連れて行きませんけどね。たぶんそれは多くの企画者・添乗員が同じことを思っていると思います。それでもこんな事件がおきてしまうのです。そして、それは添乗員の過失となってしまうのです。
あらためて、責任の重大さを思い知らされる今回の判決でした。
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